師匠は僕の目を見て言った。
「原因が分らないのなら、一日一日精一杯生きてみろ・・・・それも、時間を惜しんで生きてみろ・・・それでも気持ちが変わらないなら、その時は自分自身で身の振り方を考えろ・・・それもやらないで、寂しがったり、苦しがったりして流れて行く人生の時間を無駄にするな・・・ピアノなんかより生きることの方が重要なんだ・・・生きて・・生きて・・・初めてピアノを自分の表現の一部にすることができる・・・とにかく・・生きてみろ」
と言って、僕のグラスにウィスキーを注いだ。
僕が師匠ジュラ・キシュからもらった最初のアドヴァイスだった。
「ピアニストの僕・本当の僕 : 天才ピアニストジュラ・キシュの本当の顔」より
ピアニスト 後藤・イシュトヴァン・宏一さんの、2009年までブログより。
- アーティスト:後藤・イシュトヴァン・宏一
- 発売日: 2008/08/18
- メディア: CD
ハンガリー国立リスト音楽院に留学時代のお話。とても興味深く楽しみにしていたメルマガなのですが、休刊になってしまい、残念です。