なにか、こう、「まとめ」的なものを時たま読みたくなります。
過去の歴史を学ぶことも大切なのだけれど(勉強は足りないけど)、「現代史」も、今生きている社会を形作る重要な歴史です。
体調に波があるとテレビを見たり新聞を読んだりしないこともあるし、実際、平成は寝込んでいた期間もあるのでつながっていないことも多い。そもそも1年前のこととか、数年前のこととか忘れていることも結構あります。
いくつかある「平成のまとめ」から、こちらの本「平成史」を読んでみることにしました。
まるで長老の語りを聴くかのような
表紙に写っている片山
「ラジオのクラシック番組で見たことある!」
ってお顔なので、まずそのことにびっくりしたり。
もうおひとかたが、元外務省の佐藤
このお二人の対談をまとめた一冊です。
片山さんは、そもそも政治思想が専門のようで、佐藤さんは、神学が専門でもあるらしく、そんなおふたかたの対談はとても濃いものでした。
例えば、町内会の集まりで。
まるで長老のような存在の方っているじゃないですか。
地域の事情に長けている方。
ただただ高齢がゆえに悪口を言うような人ではなく。地域のそれぞれの人の事情も知っていて、それぞれが抱える歴史も知っていて。
それらに配慮したうえで次々と出てくる地域の歴史や、人の話題。
まるでそんな長老の語りを聴くような感じで、ただただ圧倒される。合いの手も入れられないほどの重みを感じながらも、話を聞き入るような。
そんな密度の高い話が、政治レベル、日本の平成史レベルで語られるのを読み続けるかのような一冊でした。
ノストラダムスの大予言
片山 そうなんです。私たちの世代は終末思想を意識せざるをえない状況で育った。
(中略)
小学生での刷り込みはききますよ。人生ずっと引き摺ります。佐藤優; 片山杜秀. 平成史 (小学館文庫) . 株式会社小学館.
平成につながる昭和の話で。
オイルショックや石油枯渇の未来予想、「ノストラダムスの大予言」、スプーン曲げなどのオカルトや超能力の流行。それらの経験が「人生ずっとひきずっている」というお話。
「私だけじゃなかったんだ!!」と50代にしてやっと知りました。(自分みたいなのは少数派だと思ってました)
「ノストラダムスの大予言」なるものを知ったのは、自分は小学生の頃だったかなぁ。小学生向けの学習雑誌で知ったような気がします。
その時、
「30歳を過ぎた頃には人生が終わるんだ」
と自分の年齢を計算したような記憶もあります。
30歳といえば、大人として社会に出て働き盛り。自分で稼いだお金で、今の生活よりも叶えられることが増えているはず、手に入れられることを増やしてやる、と子ども心にぼんやり思っていました。(当時は豊かな家ではなかった)
そんな大人としてスタートを切って波に乗り始めた頃に人生が終わるんだ。その先はないんだ。がんばっているだろう年齢で、ぷっつり人生は途切れるんだ。
それじゃ、そこまでがんばって、どうするんだろう。
そんなことを考えたことがあります。
それから中高と、友達と大予言などオカルトな話をすることはなかったし、そのときどきに求められることにがんばろうとはしたし、進学や就職のために勉強もしたりしたので、「ノストラダムスの大予言」が最優先で影響されていたとは思いませんが。
でも、知識人でさえも、「人生ずっとひきずっている」と言っている。
私も、無意識のうちに、そののちも影響を受けていたりしていたのでしょうか。
「チ。」はやはり哲学的な漫画だった
オーギュスト・コント
1798‐1857。フランスの哲学者、社会学者、数学者。人間の知識の発展は、神学的、形而上学的、実証的の3段階を経てなされる、と説いた。社会学の創始者とも言われる。佐藤優; 片山杜秀. 平成史 (小学館文庫). 株式会社小学館.
対談(本文)に出てきた言葉の注釈にあった解説なのですが。これが、私にとって最高の出会いでした!
天文学の話でありながら哲学的と感じた漫画「チ。」とつながったのです。
人間の知識の発展は、神学的、形而上学的、実証的の3段階を経てなされる。
まず神学的。
次に、形而上学的。論理的に哲学的に。目に見えない世界の原理やそこに存在するものについて考察する。
そして、実証的。経験と観察に基づく科学的方法を重視する。
この3段階。
まさに、最近読んだ漫画「チ。」が、この3段階を経ているのだと。
天動説と地動説とで大きく揺れ動く時代。
私たちは星を見ることができ、地上から観測することもできるのですが。宇宙の中にあって、地球がどの位置にあるのか、どう関わっているのかということは、俯瞰して観ることができません。
天動説でアプローチします。その際に「地球の周りを星々が回る際、どのようにしたら美しいか。どのような規則性があるか」と、世の理を推察し、仮説します。
それを立証するために、観察し続けたり計算したりしてアプローチし続けるのだけど、どうにもおかしいとなり、地動説に揺れ動いていきます。
これを知った時には、新しい世界が開け、視界がキラキラと光るような感覚を覚えました。
こういう感覚で「チ。」を読むと、難解に思えるあの作品は、「人間の知識が発展する法則」という大きな秩序でもって展開されているのだと、感動しました。(フィクションが入っている作品であってもです)(哲学や天文学に深いわけではありません。それでもひとつひとつ足がかりのようなものを作っていくのは、大事だと思うので)
学びはまだまだ深くなく、この先も難しいと思います。しかし、コロナ禍のストレス解消目的に毎日少しずつ読む習慣を取り入れ、私なりに、本と本の知識がつながり、点と点が線で結ばれていくことに、予想外の喜びを見出したりしているここ数年です。