かわたれどき - 最北暮らし -

彼は誰時。最北住み。50代主婦。

【読書記録】「花のれん」(山崎豊子)、吉本興業の創業者 吉本せい がモデル

花のれん

花のれん

  • 作者:山崎 豊子
  • 出版社:新潮社
  • 発売日: 2005年04月


吉本興業の創業者である 吉本せい をモデルとした小説です。(ちなみにNHK朝ドラの「わろてんか」の主人公も 吉本せい がモデルです)

山崎豊子さんデビュー二作目にして、直木賞を受賞した作品です。


多加は呉服問屋に嫁ぐものの、夫の吉三郎の道楽が過ぎて、身を崩す。

「芸人道楽でできた付き合いが、あんさんの資本だす」

明治44年、多加が25歳の時、心機一転、寄席を始めることにする。しかし、また夫は身持ちが悪くなり、はてに亡くなってしまう。

多加は女一人、大阪の寄席で商いをしていくことを決意する。



多加は、小さなところから始末(節約)し、泥臭いこともします。

多加は、きんの背中を流す度に、一回十円、一回十円やと心の中で繰り返しながら、すすぎ水を何度もかけ、石鹸の一泡も残さぬように流した。

山崎 豊子. 花のれん(新潮文庫) . 新潮社.



「芸人あっての商売」と、芸人に厚い情をかけます。

「そらそうや、二流の寄席で金も無いのにそないせんでもええのやろ、そやけど今のわては、何でも肥料をせんならん時や、肥料の足らん処からはろくな産物出来しまへん、肥料が出来て、苗がつくまでがしんどいのんや、わてが煙草一本の楽しみもせんと節約して祝儀切るのは、この苗をつけたいさかいだす、芸人衆へ祝儀切るのはわての商いに資本入れてるので、一つも無駄になれしまへん、切って、切って、切りまくって、南で一流の寄席持たんことには」

山崎 豊子. 花のれん(新潮文庫) . 新潮社.



その一方、大胆な勝負に出たり、臨機応変に素早く行動に移したりと、どんどんと商売を大きくしています。

借金がある状態からスタートし、努力と才覚と、度量の深さによってのし上がっていく女性の物語。私は女一代記ものが好きなのだということを、改めて感じました。

山崎豊子さんの小説は「社会派小説」ともいわれているので、難しい文体かと思っていたのですが、そんなことはありませんでした。丁寧に情景が描かれています。

今、オーディブルで聴いている「白い巨塔」も、耳からでも理解できます。(他の小説を読むと、難しい作品があったりするのかもしれませんが)

今まで全然読んでこなかった作家さんなので、楽しみが増えました。機会を作って他の小説も読んでみたいです。


わてみたいな商売人は、独楽みたいなもので、回ってる間だけがたっているので、動きが止まった途端に倒れますねん、商人て何時まで経っても、しんどいものだす

山崎 豊子. 花のれん(新潮文庫) . 新潮社.