彼は誰時

かわたれどき。最北住み。50代主婦。お気に入りを集めているブログです。

年始にテレビで見たもの、「こいつぁ春から 初芝居生中継」、中村七之助の「お七」は眼福もの

お題「年末年始に見たもの・読んだもの」

年末に副音声解説付きで歌舞伎を楽しんだので、こちらのほうも観ます。NHK Eテレの「こいつぁ春から 初芝居生中継」。

昔の男の人も、モテたがっていた

南座で公演された「義経千本桜 すし屋」でもそうだったし、今回の「松竹梅湯島掛額 吉兆院お土砂」でもそう。女の人が男の人にかなり積極的に迫るシーンがあります。それも結構延々と。
「えっ!? 昔の人って、女のほうがこんなに積極的だったものなの?」
と気になったのですが。

「昔の観客は男の人が多かったので、女性から言い寄られる場面も喜ばれていました」
というような解説が副音声でありました。美しくて好みの女性を追いかけたい気持ちもあるでしょうが、女性に猛アタックされるほどモテるのもまんざらじゃない、といったところでしょうか。

納得! 早々に解決しました。副音声での解説、最高です!!

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中村七之助の「お七」鑑賞は、一生物の価あり

今回、言葉を出せないほど見入ってしまったのは、「松竹梅湯島掛額」の「四ツ木戸火の見櫓」で中村七之助さんが演じる「八百屋お七」です。

江戸時代、火事で焼け出され避難した先で出会った男性に恋をする「お七」。その後、再建した自宅に戻りますが、また火事になれば、避難先で愛する男性に再び会うことができると考え、放火し、果てに処刑されてしまいます。その話を元に、この舞台では、火事を知らせる太鼓を鳴らすという大罪を犯すまでの女の心を、七之助さんが演じました。

お七が火事を知らせる太鼓を前にして一人になると、「人形振り」が始まります。七之助さんが人形になり、人形遣いの黒子が二人付き、太夫と三味線の演奏もあり、人形浄瑠璃文楽で「お七」を演じ始めます。

まるで操られた人形のように演じます。関節がかくかくいってます。本当の文楽では動きが滑らかだそうですが、より人形らしさを表現するために顕著な動作をしているようです。人形のような動きをしながらも、妖艶な仕草も表現します。

目も焦点が合っていません。無表情です。後から知ったのですが、できる限り瞬きをしないで演じていたそうです。目が乾いてコンタクトが外れたそうです。

凄い。

吸い込まれるように見入ってました。

そして、私は思いました。
「“ガラスの仮面”の北島マヤだ・・」

漫画「ガラスの仮面」で、主人公で天才の北島マヤが「人形」を演じたシーンがありました。関節が固まったまま、無表情、そして、瞬きをせずに演技するという話でした。その演技の凄さに、驚愕と共に魅入らせてしまう。その北島マヤを彷彿とさせる演技だ。

いや、漫画はとても面白いとはいえ、漫画のキャラクターと一緒にしたらダメだ、と思いながらツイッターをのぞいたら、私と同じように「“ガラスの仮面”のマヤ!」と思った人がいたようです。

いやあ、七之助さんに、“ガラスの仮面”を演じてもらいたいです。天才女優を演じられるのは、演技が上手な人しかできないです。「風の谷のナウシカ」を歌舞伎で演じられるのですから、ぜひぜひ。

そもそも私が「八百屋お七」を知ったのは、「ガラスの仮面」からです。七之助さんの演じられる「紅天女」! 想像しただけで、わくわくしますね。

話、全然関係ないんだけど。レビュー欄が大変なことになってるわ。「作品が終わる前に作者が亡くなるのでないか」という嘆きは聞いたことあるけど、「自分のほうが先に死にそうなので、なんとか最終話まで描いてください」という悲痛な願いが。ヽ(´Д`)ノ

この演目は、本当に生で観てみたいです。七之助さんの演じる「八百屋お七」は、とても素晴らしかったです。忘れられないもののひとつになりました。

テレビで観劇できただけでも良かったです。録画してなかったんですよね。HDD もパンパンになってたので、少しずつなんとか容量を空けて予約録画をしている状態。何故にテレビはそんなに見ないとか言っておきながら、HDD の容量がパンパンなのか、自分でもよく分からない状況になっていますが。この舞台が始まって、「これは凄い!!」と気付き慌てて録画し始めたけど、一部だけの録画。

そもそも録画しても長くは保存できないメモリー形態だけど、七之助さんの人形振りもある「八百屋お七」は、録画して永久保存、一生ものにしたかったなぁ。たぶんこの演目はテレビ放送ではもう観られないだろうし。DVD で出る可能性も少なそうだし。いろいろ残念だと思うぐらい、素晴らしかったですよ。

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本当に、七之助さんの「お七」を生で観てみたい。「風の谷のナウシカ」でもいいです。でも、難しいですね・・

natalie.mu